Saturday, April 15, 2006
起業・独立起業 - Kelvin Huiの起業情報
出向は大きなチャンス!リーマン起業は超おいしい
「具だくさんの食べるスープ」で人気の外食チェーン「スープ ストック トーキョー」。もともとは三菱商事の社内ベンチャーから誕生、わずか6年で 34店舗、年商30億円と急成長している。この快進撃の指揮を執るのが遠山正道会長(43)。肩書こそ会長だが、実はれっきとした同商事のサラリーマン だ。個性的な経済人が毎月登場する「この人に聞きたい」。第1回は“ホリエモン”の対極をいく、サラリーマン起業家の素顔に迫る-。
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起業の時代にあって、脱サラはせず、サラリーマンのまま新会社を起こした。企業買収を繰り返して拡大してきた“ホリエモン”とは対照的だ。
だが、ご当人は「M&Aなどで株価を吊り上げてうんぬんと、むやみにスケールを大きくするのは自分のスタイルに合わないんです」とさらり。サラリー マンでいるのも、「個人の情熱や生活者の目線と、企業の仕組みや信用力という、両方の長所を組み合わせれば、面白い仕事ができると思ったから。『脱サラ』 は、なんだか肩に力の入る感じでイヤだったし」と、あくまでも自然体だ。
遠山さんが「スープ ストック トーキョー」を起こすきっかけとなったのは、三菱商事の関連会社の日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)へ の出向。当時、情報産業グループに所属、「食に関心があるし、商社の業務はスケールが大きすぎてビジネスの実感がわきにくい」と自ら手を挙げてKFCに。 そこで浮かんだ「あるイメージ」が、岐路になった。
それは、「女性が1人でスープをすすっているシーン」。そこから、女性1人で入れる店で、無添加の食べ物で…と空想が次々ふくらむ。すぐに物語形式の22ページの企画書にまとめ、社内で粘り強く説得。「社内ベンチャー第1号」に選ばれた。
こうして99年8月、「スープ ストック トーキョー」第1号店がオープン。2000年には、運営会社スマイルズも誕生した。新会社には自ら2000万円を出資。「資本比率は13%。拒否権もなく適度なシェアですよね」という。
とはいえ、閉店の危機もあった。支えは、32歳のときに開いた自作のタイル画個展での体験。「夢の実現のつもり」で企画したが、プロの芸術家である 親友の「そんなチンケな夢には付き合っていられない」という言葉に衝撃を受ける。このとき、「『私はこれでスタートを切ったのだ』と自分に言い聞かせまし た。『成功することを決めた』んです」と振り返る。
現在、従業員95人、今年中に12店を新規出店するというほどに成長。目標は世界一の会社になることだ。サラリーマン起業家の挑戦は続く。
★出向はチャンスの到来
大人世代のサラリーマンなら無関心ではいられない関連会社出向。だが遠山さんは前向きだ。
「本社組織は、ビジネスそのものが世の中にどう影響しているのか分からないほど大きいもの。大きな会社にいると、自分の何が評価されているかが分か らないし、自分の及ばないところでの出来事も多い。それに対して、関連会社では、仕事の規模が小さくなって初めて気づくことがある。小さな会社は自分の役 割も見いだしやすいし、暴れがいがあると思う」
「サラリーマンにとって、関連会社も大いにいい。出向は大きなチャンスです」と力を込めた。